勝負砂古墳第5次調査 概要報告

前ページ(U 調査の経過 後円部北トレンチ)へ




V 出土遺物

 弥生時代の遺物
 

今回の調査では、墳頂部トレンチから約20点、後円部北トレンチから約30点の弥生土器片が出土している。大半は小片のため、器種・時期などの詳細は不明であるが、墳頂部トレンチから出土した高杯の杯部と、墳丘南側で表採された高杯の脚部はいずれも弥生時代後期のものと考えられる。他の弥生時代の遺物としては、墳頂部トレンチの盛土内から太型蛤刃石斧が出土している。  (大石)

 古墳時代の遺物
 
 須恵器
 
確認できる器種は杯、高杯、甕、瓶類があり、前方部Cトレンチ・後円部北トレンチから出土している。これらは全て流土や後世の盛土と考えられる層から出土しており、そのほとんどが小片であるため時期の確定は困難である。また勝負砂古墳にともなうものであるかどうか確定できない。  (秋山)

 埴輪
 
本年度の調査では、前方部Cトレンチ・後円部北トレンチから埴輪が数点出土している。いずれも小片で、図示した1点を除いては、磨滅のため、調整は不明である。1は朝顔形円筒埴輪の口縁部片で、外面はタテハケ、内面はナナメハケが施されている。また表面に黒斑は見られず、窖窯による焼成と考えられる。昨年度出土の円筒埴輪・朝顔形円筒埴輪と合わせて考えると、時期は5世紀後半以降と推定される。                                              (森井)

 古代以降の遺物
 

 古代以降の遺物は、前方部Cトレンチから陶磁器片、磁器片、瓦片が出土している。また備前焼のすり鉢と思われる破片が1点出土しており、時期は中世後半以降のものであると考えられる。陶器片、磁器片、瓦片は全て上層から出土し、近現代のものである。
 後円部北トレンチからは土師質の甑の取手が3点出土している。それぞれの大きさが異なり、同一個体であるとは言い切れない。おそらく古代のものであると考えられる。             (村瀬)









次ページ(W 結語)へ